赤 朱 緋

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赤 朱 緋

真っ赤な池に放り出された私の記憶。 鎖が外れたみたいな音が頭の中に響いて、気付いたら笑ってた。 何もかもが楽しくて。 何もかもがおぞましい。 私は壊れたのでしょうか。 目の前の彼女が悲鳴をあげているのに、それすら子守唄のように耳に心地よいの。 もっと、もっと、もっと……っ 私を笑わせてよ 歪めたのはあなたたち 壊したのはお前らだ かな切り声は少し五月蝿かった。 吐き気の中に浮かんだ真っ赤な海は、やがて私の心さえも蝕むのでしょう。 こんな卑しい存在なんか死んでしまえよと、そう何度も叫ぶのに神様は叶えてはくれないから。 私は私を殺せないから。 私を守るために殺しましょう。 私は狂っていますか? 貴女が助けを求めているのに、それにすら吐き気がするのです。  
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