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私は、思わずきょろきょろしました。
拾ったその人に宛てられた手紙は、異様過ぎました。
本来なら、捨て置くものですが、手放せば死ぬ。とあらば、それも出来ません。
手紙には、読み終えたら中を見ろ、とありました。
ですから、私、中を見たんです。後悔しました。携帯を拾ったことを。手紙を見てしまったことを。
携帯を開くと、着信ありのアイコンが画面の上にあり、メイン画面には動画再生画面が映っていました。
動画を再生しろ、とでも言いたいのでしょう。私は少し躊躇いました。
最悪でした、画面は血に染まり、肉片と化しながらも、助けを求めている女性が映し出されていた。
『た…けて…す…て…た…』
驚き、恐ろしさのあまり、硬直してしまいました。が、それを許さないように、突然電話が鳴りました。番号非通知から…。
「も、もしもし。」
『その動画のオンナは俺が殺した。』
「……。」
『その携帯を手放したからだ。』
「…悪質な悪戯ですね。」
『想像に任せる。』
そのすぐ後、自分の背後で空き缶を、落とすような音が聞こえた。一泊遅れて、電話の向こうからも。
『お前次第だ。』
そして、電話は切れた。
もし悪戯じゃなかったら…?私はどうなる?家族は?工場は?!
どんどん悪いほうに想像してしまい、息が荒くなっていきます。
すると今度はメールが。
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From:シン
Subject:無題
本文
Yes? or No?
Yesなら、名前を教えろ。
名字は知っている、淀橋。
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夢中で返信しました。
パニックになっていました。
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To:シン
Subject:Re:無題
本文
ヤマト です。
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