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最寄りの駅から、シャンブリアまでの間にあるのは、何でも屋『赤牛(アカウシ)』。
もともとはタバコ屋だったというが、手当たり次第に品物を増やしたせいで、今は何でも屋になっている。
ちなみに、店名の由来は分からない。
その店先には、値札の付いたままのペット、亀の『タートル鈴江(スズエ)』がいる。
鈴江とは、店主の名字。
誰も買わなかった末に、大きくなったクサガメで、赤牛のマスコットになっていた。
名付け親は恋香で、たいていは皆『ター鈴』と省略して呼ぶが、店主の鈴江だけは、なぜか亀吉と呼んでいる。
一度、恋香はター鈴に譲れと掛け合ったが、二代目亀吉を襲名したんだと、頑として譲らない。
ター鈴の方が先だと、恋香は主張している。
先月末に投票をして、2票対12票でター鈴が勝利したが、真樹代さんが亀吉に投票したのは、驚きだった。
後に分かったことだが、真樹代さんの名字は鈴江…、別居して25年にもなるのに、離婚はしていなかった。
しかも、初代亀吉は、どうやら昔飼っていた犬の名前らしく、何がなんだかサッパリ理解できなかった。
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