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ファッション雑貨ショップの店員。江崎恋香(エザキ レンカ)が5日前に23歳の誕生日を迎えたとき、彼女の住む2階建て『ヴィラフェニックス』のC棟の308号に、美女が越して来た。
恋香は、B棟の2階。208号から駐車場を挟んで正面に見える美女の部屋を眺め、謎の美女がワケ有りで越してきた。と、勝手に想像した。
造りは新しく、赤い煉瓦のモダンなアパートだが、家賃が高いわけでもなく、不釣り合な美女だと思っている。
その日の彼女の日記には、向かいの住人は、謎の美女。と、メモ書きが残った。
朝、いつもより少し早めに起きると、寝室の窓から美女の部屋を眺める。
向かいの部屋の窓は、カーテンがしまっていて様子は判らなかった。
シリアルで朝食をとると、支度を整え部屋を出る。
駅までは、自転車を使う。
歩けば15分くらいの距離。
駅近くの喫茶『プライム』の店主、七篠(ナナシノ)が人の良いお爺さんで、無償で自転車を停めさせてくれる。
恋香は、お礼を兼ねて、週に2回パンと缶詰を届けてあげる。
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