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ある休日、義信と一緒に外の空気を吸いに出掛けた。
外靴を履いて出掛けるのは、俺にとって数週間ぶりだった。
「見てみてっ!」
歩道に咲いているタンポポを指差した。
黄色い綺麗な花。
この花がいつか綿毛になり、どこかへ飛んでいく。
風に乗って遠くまで飛んでいく。
フワフワと飛んでいく綿毛を、羨ましく思う時期があった。
でも、今は義信の隣にいられる自分が一番幸せだった。
「綺麗やな」
「なっ」
差し出された手を握ると、ゴツゴツとした男らしい手だった。
少しだけ皮膚が硬くなったような、働いている男性の手になっていた。
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