謎の転校生

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突然加えた先生の一言に、クラスの男子の雄叫びの音量は増していく。 何故ならこの先生。思ったことは正直に言う。と自分で昔断言したことがあり、気に入らないことがあれば直ぐ様真っ二つにするような人なのだ。 勿論、人を可愛いと言うことも少なく、自分より可愛いと認めた人に対してしかその発言をしない。 というより、数年前まで読者モデルをやっていたらしく、先生自体容姿が整っているため、他人に可愛いと言っている姿など見たことが無かった。 その先生が今、他人をはっきりと可愛いと言ったのだ。 本当に跳んで喜んでいるやつすらいる。 俺も飛び跳ねたい気持ちは山々なのだが、クラスではクールなキャラクターを演じているため、机の下でぐっと拳を握りしめただけであり、 高揚した気分を隠すことも出来ず、教壇を凝視していた。 だからこそ、 「む……ぅ」 ぷーっ、と俺の手を見て、頬を膨らませている貝谷には気づきもせず、ただ汚い笑みを浮かべているのだった。
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