謎の転校生

6/11
前へ
/90ページ
次へ
おー。と、貝谷は突然目を見開くと、漫画のように手のひらをぽんっと逆の手で叩いてみせる。 そもそも、この噂は一週間ほど前からクラス中で専ら話の種として扱われていたのだから、俺も知っていることであった。 「そんなもん知ってるっての」 俺が、思ったことをその通りに言うと、その態度が気にくわなかったらしく、貝谷は頬を膨らませた。 「む…、じゃ、じゃあ、その転入生が…」 「うるさいですよ?貝谷さん…?」 俺の方を向きながら喋っていた貝谷は、先生の接近に気づかなかったらしく、軽く頭を叩かれると頬を膨らましたまま顔を真っ赤にして、あたふたと意味深な動きをした。 「ご…ごめんなさい」 先生に謝りながら俺のことを睨んでくる貝谷。まあ、俺の位置からだと先生の接近は、ばっちり分かっていたから、仕方ないのかもしれない。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加