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やがてマンションに着くと、駐車場に車を入れて今度は千聖が訊いた。
「本当にここでいいのか?家の前まで送って行かなくて」
「ええ」
藤塚駅前――
その辺りはファーストフードの店やアイスクリームの店、ゲームセンター、可愛い小物の店や流行の服を売っている店などが軒を連ねている所で、平日の午後や休みの日は若い女の子たちで結構賑わう。
千聖の住んでいるマンションは、それらの店を見下ろすように建っていた。
未央は車から降りると、マンションを見上げた。
「何処があなたの部屋?」
「五階の503。あの部屋だ」
カーテンの閉まっていない暗い窓を指さす。
未央はキョロキョロと見渡してそれを確認すると、千聖の方を向いた。
「部屋はいくつあるの?」
「3LDKだ」
「結構広いのね」
「ああ」
「駅から近いし、商店街もあるし、便利でしょ?」
「ああ」
「一人暮らしなの?」
「ああ」
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