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何かしたか?と問い返すのも悪い事のような気がして口角を歪めた千聖の様子に、少女は小さく溜息を吐いた。
「そうなんだ。私ね、あんなにハードな体験初めてだったのよ。乱暴なんだもの。気絶しそうになっちゃった。なのに―― 覚えてないの?ふぅん……私にとっては凄い夜だったのに、あなたにとっては何でも無かったんだ」
(ハード?初めて?乱暴?凄い夜?)
立て続けに並べられた言葉に、身体中の血の気が引く。
どう見たって少女はまだ未成年。
いや、もしかしたら十六歳くらいか。
だとしたら、そんな子供相手にそういう事をした自分は――
(青少年保護育成条例違反 !? マジかよっ !?)
頭の中は益々混乱した。
「ご……ごめん。その―― なんて言ったらいいか」
そう――
なんて言ったらいいのだ?
知らない、覚えていない……そんなので済まされる事じゃない。
いや、それ以前に、何故この少女をここへ連れて来たのだろう?
何処で知り合い、何処から連れて帰って――
千聖は、シーツを掴んで首から上だけ出している少女をじっと見つめた。
茶色の髪、大きな瞳、大きな口――
「あれ?」
ふいに頭がスゥーッと冷静になる。
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