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「今日こそ決めてやる!」と威勢良く挑んだ三度目のデートも、間もなく終わろうとしていた。
「なあに?響、もしかして暗い公園でキスでもしようとか思ってるんじゃ無いでしょうね?」
「え―― そ、そんなこと思うわけないじゃん。や、嫌だな。ハ……ハハハ……」
片手を上げ、頭を掻きながら笑って誤魔化す。
それから響は「クソッ!なんで分かるんだよ」と下を向いて呟いた。
「何か言った?」
「何でもない何でもない―― フゥ……」
気を取り直して未央の様子を見ながら、もう一度訊いてみる。
諦めが悪いのも響の特徴なのだ。
「で―― でもさ、ちょっとベンチで話しするくらいならいいだろ?んでもって、肩くらい組んでも。もう三回目のデートなんだし」
大きな瞳をクルクルと動かした未央が答える。
「そうね、それくらいなら……」
「やったっ!」
途端、小さくガッツポーズしながら(なんで俺、肩組むぐらいで喜んでるんだ?)と響は自分に問い掛けた。
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