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「星が綺麗だな」
「そうね。星空ってロマンチックよね。私、月の夜より星が沢山見える夜の方が好き」
「俺もだ。星の光ってさ、何千年も何万年も前の物もあるんだよな。星が死ぬ瞬間に大爆発を起こして放った光を俺たちが見ているときには、もうとっくにその星はその場所から消えているなんて凄く不思議な気がする」
「ホントとっても不思議」
空を見上げながら呟いた未央が、ふいに肩に乗っている響の手を掴んだ。
そのまま前の方へ引っ張る。
(えっ――?)
響はドキッとして思わず未央を見た。
未央が今持っている手を離せば、万有引力の法則に従って響の手は未央の小さくふくらんだ胸の上に落下する事になる。
(ず―― ずいぶん今日は積極的だな。いや、俺がぐずぐずしているから痺れを切らせたのか?でも、どっちにしてもチャンスだよな)
頭の中で呟いて、響はもう一度未央を見た。
未央は少しうつむいている。
(よっし!チャンスだ。頑張れ響!)
自分で自分にエールを送った響が、おもむろに身体をずらして未央の顔を覗き込む。
「未央――」
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