963人が本棚に入れています
本棚に追加
.
響を置き去りにして公園を飛び出した未央は、真っ直ぐ駅へ向かった。
計画実行まであと三十分。
それまでに準備をして目的地へ行かなくてはならない。
「急がなきゃ」
コインロッカーからスポーツバッグを取り出して、トイレに駆け込む。
すぐに個室に飛び込んで着替え始めた。
「全く―― なんで駅のトイレってこう汚いのかしら。もっとキレイに使って欲しいもんだわ。着替えにくくってしょうが無いじゃない」
人が聞いたら「そこは着替える所じゃない」とツッコミを入れそうな文句を言いながら、水色のワンピースから黒っぽいTシャツとスパッツのランニングウエアに着替えを済ませて外へ出る。
もう一度コインロッカーへ戻りスポーツバッグを放り込むと、小さなリュックから特製のローラースケートを取り出した。
足を乗せカチッと固定する。
「よっし!あと二十五分」
未央は気合いを入れて夜の街へ滑り出した。
.
最初のコメントを投稿しよう!