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スイスイと人混みを抜けて渋滞している車を追い越し、ポニーテールを揺らしながら進んで行く。
やがて閑静な住宅街の一画に着くと、広い庭のある屋敷の前に止まった。
ローラースケートを外してリュックにしまい、辺りを見回す。
高い塀のすぐ内側に大きな木がある。
未央はその傍まで行き、左手を真っ直ぐその木の枝に向けた。
途端に手首の辺りから何かが飛び出し、その枝にグルグルと巻き付く。
そこから伸びた細いワイヤーをクイクイッと引っ張り、今度はそれを伝って身軽に登り始めた。
あっという間に塀を越える。
庭に降り立つと急いで建物に向かい、素早く物陰に身を隠す。
(いつも通りだと、あそこの窓が開いてるはずよね)
それから勝手口横に置かれたゴミ箱から物置の屋根。
そして一階の屋根へと登ると、ベランダの手摺りを越えて内側に入った。
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