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斬り合い。返り、血……?
ということは総ちゃんが、誰かを斬ったってこと……?
「なあに、その顔?
忘れてないよね。
僕らは人斬り集団なんだよ。
人を斬ることが、僕達の仕事なんだ」
ゆっくり顔を上げると、総ちゃんは笑顔で私を見下ろしていた。
その瞳は、全然笑っていない。
「漓遠、君も新選組の隊士になったんだ。
此処にいる限り、君は必ず人を斬る。
……覚悟を決めなよ」
人を斬る覚悟を、ね。
そう言って再び歩きだした総ちゃん。
その後をついて行きながら、私は混乱している頭の中を整理しようとしていた。
私が人を斬る……人を殺す?
平和な未来の世界で生きてきた私には、現実的に考えることが出来ない。
だけど、新選組は人を斬ることは承知の上。それを知っていて、私はここに入隊した。
私もいずれ……そう遠くないうちに、人を斬らなきゃいけない。
私は、きつく唇を噛んだ。
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