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――――結局、その時は斬り合いにならずに済んだ。
不逞浪士達の大半は雑魚だから、非番の時や夜に襲撃されることはあっても、普段斬り合いになることは珍しい。
屯所に戻った私に、一ちゃんはそう教えてくれた。
だからといって、安心は出来ないししてはいけない。
「油断するな。新選組に身を置くならば、常に死ぬ覚悟と斬る覚悟をしておけ」
一ちゃんは最後にそう告げた。
ぬくぬくと平成を生きてきた私には理解できない世界。
だけどそれが幕末という時代で、私は今そこにいるのだから。
「……郷に入っては郷に従う、ってやつかな」
私は新選組の一員なんだ。
…………覚悟を決めなきゃ。
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