「覚悟を決めなよ」

4/4
前へ
/71ページ
次へ
――――結局、その時は斬り合いにならずに済んだ。 不逞浪士達の大半は雑魚だから、非番の時や夜に襲撃されることはあっても、普段斬り合いになることは珍しい。 屯所に戻った私に、一ちゃんはそう教えてくれた。 だからといって、安心は出来ないししてはいけない。 「油断するな。新選組に身を置くならば、常に死ぬ覚悟と斬る覚悟をしておけ」 一ちゃんは最後にそう告げた。 ぬくぬくと平成を生きてきた私には理解できない世界。 だけどそれが幕末という時代で、私は今そこにいるのだから。 「……郷に入っては郷に従う、ってやつかな」 私は新選組の一員なんだ。 …………覚悟を決めなきゃ。                
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

309人が本棚に入れています
本棚に追加