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「早くて2ヶ月かぁ~。」
あいりがポツリとつぶやく。
その言葉に、私は違和感を感じた。
ん…?2ヶ月…?
あれ?
この子を2ヶ月も見なかったことなんてない。
確かに裏山にいないこともあったが、【いない】ことよりも、【いる】ことの方が多かった。
頻繁に裏山に行ってたわけではないが、そこにいる白い子猫と遊びたくて、1週間に1回は顔を出していたのだ。
それを告げると
「リルルもよく分からないけど…、時間の流れは違うように感じるにゃ。リルルが4ヶ月ぶりに行っても、君はまるで2~3日しか経ってないような口調だったこともあったにゃ。でも、向こうで2ヶ月くらい過ごして帰ってきても、ラウルは【今回も早かったね】って言ってたにゃ。」
【君】というときに私の方を見ながらリルルが言った。
リルルの言葉に、それはいつのことだったのだろうかと考えてみたが、全く分からなかった。
それよりも、この子は私の話してたこと全てを理解していたのかと思うとすごい恥ずかしくなった。
え、私、この子にいろいろ話したよね!?えぇ!?全て理解してたってこと!!? お母さんとケンカしたことも、好きな人のことも話したような…。あぁぁぁ!確かファーストキスのことも話した気がする…!
いろいろ思い出して、気持ちが沈んでしまった。
そのことの方が私にとって大事で【ラウル】という名について聞き返したりはしなかった。
「?。どうしたのにゃ?」
落ち込んでる私にリルルが聞いてきた。
「ん…。なんでもない…。」
そんな私の様子にあいりは気付いてないのか、
「それって、ここでの1ヶ月が私の世界でも1ヶ月ってわけではないってことだよね?」
とリルルへ聞いた。
「暦を合わせたことがないから詳しくは分からないにゃ…。でも、違うような気がするにゃ。」
「う~ん…。すぐに戻ることも出来ないし…今はそう信じるしかないよね。」
あいりが言った。
「仕方ないか…。ね、ちはや」
「うん。今は、戻れるまで待つしか出来ないよね…。戻った後が、ちょっと怖いけど…」
私が戻るまでに何ヶ月も経っていたらどうしよう。
きっと両親に怒られる。行方不明者として、警察が捜査してしまうかもしれない。
それを考えると、帰るのもまた億劫に感じられた。
きっとあいりも同じことを考えてる。私とほぼ同時にはぁっとため息をついたのだから…。
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