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初めてその子猫を見たのは、確か幼稚園の時だった。
真っ白でクリクリした目で私を見つめてた。
それから時々見掛けるようになった。
初めは近寄ると逃げていた子猫だったが、いつしか撫でても逃げなくなった。
小学生高学年くらいから、その子猫に違和感を感じたが、ただ【可愛い】ということであまり気にはしていなかった。
だけど、さすがに高校生になる時には、あれはただの子猫ではないと分かっていた。
だって、子猫は初めて出会ったあの日から全く成長していないのだ…。
初めは、そっくりな白い子猫が他にもいるのだと思った。
けれども、その子猫を見掛けるたびに撫でているからか、それが同じ子猫なのだと私は知っていた。
私が撫でてあげると、嬉しそうに「にゃーん」と鳴く子猫は、ただ【成長】しないだけでとても可愛いい子猫だった。
実は何度か、この子猫を連れて帰ったことがあるのだが、翌日には姿を消していた。
それが数回続いてから、私は連れて帰るのをやめた。
その子猫のことを、親友のあいりに話したのはつい先日だった。
「うっそだ~!!」
彼女は私の話を聞いて、笑いながらそう言った。
そう言われるのは覚悟していた。
「ちはや、それってよく似た違う子猫なんじゃないの!?」
あいりがまだ笑いながら言った。
「私もそう思ったんだけど、あれは絶対同じ子猫だよ!間違いないって!」
何度もそう言ってもなかなか信じてもらうなかった。
まぁ、仕方ないか…。
けれど、私があまりにも真剣に言うからか、ついにあいりは「じゃあ、今度その子猫に会わせてよ。成長してない云々はおいといて、そんなに可愛いなら見てみたい。」と言ってきた。
もともと動物が好きなあいりは目を輝かせていた。
「いいよ。明日、学校帰りに行こう。」
そして今日、いつも子猫がいる、裏山の原っぱに来たのだった。
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