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「大丈夫だって。怖いなら、ちはやは待っててよ。ちょっと見てくるから。危なくなったら引き返すね。」
そう言われて、はいそうですかと待てるわけがない。
ちょっと考えて「私も行くよ」とついていくことにした。
木の穴は四つん這いにならないと入れないくらいだった。
スカートが短いのでちょっと気にはなったが、誰もいないしと四つん這いの体勢で穴の中へと潜り込んだ。
窮屈だろうなぁ~と思っていたのだけれど、10メートルくらい進むと急に高さが高くなった。横幅も少し広くなった気がする。
立ち上がるほどの高さはないが、先程までの窮屈感はなく気持ち的にちょっと楽になった。
「あいり、あの子猫はいる?」
声をかけると
「ん~…暗くてよく見えないけど、いないみたい」
とかえってきた。
あの小ささだと、これくらいササッと走り抜けられるし、きっと走って行ったのだろう。
5分ほど進んだ時、あいりが「あ、出口!」とちょっと明るい声で言った。
あいりの背後から前方を見ると、出口から明るく光が入ってきていた。
やっと抜けれる、と私のスピードがあがる。あいりも同じ気持ちなのだろう。さっきよりスピードが上がっているのが分かる。
先にあいりが這い出し、私も続く。
暗いところから明るいところへ出たからか一瞬目がくらんだ。
そこは森だった。
「あれ…?なーんだ。ここって裏山?」
拍子抜けした声であいりが言った。
正直、私もちょっとがっかり。
だが、そんな私達とは裏腹に、一人びっくりした声を出したものがいた。
いや、【一人】ではなく【一匹】というべきか…
「にゃ…にゃんで…にゃんで君達がいるにゃ!!?」
それは小さな女の子のような可愛らしい声だった。
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