OVER DRIVE

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「おい、見ろよ。ルピちゃんの登場だ。」 三階の食堂で朝食を食べながら、ハリソンが指をさす。 この前、廊下でデッカイ黒人のベリーに体当たり食らってるところを揃って目撃してからというもの、何故か彼女を見つけては観察するのがこの仲間内だけで流行ってる。 最近になって気付いたが、確かに、アイツは地味で目立たないはずなのに、チラチラと野郎共からの視線を浴びている。 この前ケビンが言ったとおりのようだ。 『あれで見てる男は多い』ってさ 俺はあの時から「今まで知りませんでした~」なんてどうでもいいウソをついてしまったばっかりに、興味なさげに「お前らも物好きだなぁ」とぼやいて見せた。 右隣で頬杖ついて笑ってるハリソンは俺がNYで初めて作ったダチ。 コイツのおかげで今、ここに住めてる。 ロック大好きな歌えるギタリストで、俺のベースの腕も認めてくれてる。 金髪でガタイも結構いいくせに、何気に童顔なのが惜しい。 俺とは同い年で、同室だ。 そして、左隣でニヤニヤした顔でお気に入りの『ルピちゃん』を観察してるのがケビン。 俺より背が高いくせに俺より細い。…俺だってスレンダー(?)な方なのに。 それでも、ノリがよくて口が上手い。おまけに情報を仕入れるのが俺たちの中で1番早い。 コイツも同じくギター好き。…と言っても、演奏よりも曲作り専門みたいだけど。
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