―殺人―

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今日は父の誕生日で頼と母は父に内緒でご馳走とプレゼントを用意する予定だった。 プレゼントは既に用意していて、母はご馳走を作るための材料を買いに行っていた。 ちょうど良く父は仕事が休みだった。 母が買い物に出掛けている間に父と二人きりになり、また将来について話しをしていた。 『幸せになるためにはもう少し時間が必要なんだ。』 『もう少し…ほんとに少しだけ将来を考えたい。幸せだけが欲しい。』 自分の気持ちをすべて父に伝えた。 今まで思っていたことすべてを。 「わかった…。」 しばらく沈黙が続いた中、父が言った。 三日くらい前にも将来の話しをして父と怒鳴りあった。 その時、父は謝った。 わかったという言葉に少し期待した。 本当にわかってくれたのだと思った。 前には話していない幼い頃からの気持ちも伝えたから。 「お前の育て方を間違えた。早く自立しなさい。そうしてくれたら助かる。」 その言葉は期待と全く違った。
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