―殺人―

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急に目の前が真っ暗になり、気づいたら辺りは真っ赤に染まっていた。 頼の右手には鉄製バットが握られていた。 11歳の誕生日に叔父さんから貰ったプレゼントだ。 部屋を見回してみると父が倒れていた。 いつもの父とは違って、顔は真っ赤で崩れていた。 頼はやっと何があったのか思い出した。 「お前の育て方を間違えた。早く自立しなさい。そうしてくれたら助かる。」 最初の育て方を間違えたという言葉に腹を立てた。 部屋に戻りバットを手にした。 そして父を――… 無意識にやってしまったのだろう。 こんなことをするつもりは無かったはずなのに、体が勝手に動いてしまった。 急に恐怖が湧き出てきた。 父は全く動かず目は開いたままだった。 死んでると確信した。 人を殺すのは初めてでどうすれば良いのかわからない。 まずは証拠を隠さなければと思っても体が動かない。 急がなければならないときに限って体は動かなくなる。 寒気がした。
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