―夢―

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「将来は何になりたい?医者か?」 人生で二回目の質問。 『幸せになりたい。』 最初に浮かんだ言葉をそのまま言った。 「じゃあ今は幸せじゃないのか?」 幸せじゃないから幸せになりたいと言ったのに 言葉がわからないのかと思った。 『もっと幸せになりたい。自由になりたい。』 自由になりたいと言えた。 怖くて言えなかった言葉が。 親に従うなんてもう子供じゃないんだから。 そろそろ自立しなければならない時期。 「お前は本当にそれでいいのか?後で後悔しても知らないからな。自業自得だから。」 脅されてる気分になった。 そんなに俺の人生を無駄にしたいか。 俺の人生を無駄にするのが楽しいか。 そう思うと苛立ちが止まらなくなる。 『夢に自信がなくなった時だけ相談するよ。わざわざ俺の将来を気にしなくていいから。ゆっくり自分で決めたい。』 親はぽかんと口をあけた。 俺がそんなことを言うとは思わなかったのだろう。 成長したのに。
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