―夢―

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いつまでも子供扱いする親をますます嫌いになった。 変わらない子育ては飽きる。 親が子育ての仕方を間違えたと思わせたくて 将来は悪いことをしてやろうと思った事があった。 でもプライドが許さなかった。 罪を犯して警察署に行くなんてごめんだ。 ただ自分が捕まった時の親の顔を思い浮かべる事が楽しかった。 『ねぇ。もし俺が罪を犯したらどうする?』 試しにきいてみた。 「お前はそんな事しないと信じてる。でももし罪を犯したらその時はもううちの子じゃないな。」 思った通りの言葉が返ってきた。 心の中での笑いが止まらない。 今まで息子を自慢してきた分悪いことをしたらすぐ捨てる。 自分のために。 なんて勝手なんだ。 なら最初から自慢なんかしなければよかったのに。 親を後悔させてやりたいと思った。 そう思った頃にはもう高校を卒業していた。 やっと独りになれる。 やっと自由になれる。 人生を送るのが楽しみになってきた。
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