5人が本棚に入れています
本棚に追加
音が、鳴った。
いつだってその曲が鳴っていた。
ポロンとピアノの弦が弾けて。少女は気がつけばその音に包まれていて。
そして少女は白い鍵盤の上で踊る綺麗な指に見とれながら、眠りについた。
――その曲の名前は?
少女がまどろみの中そう問いかけると、音を奏でる少年は優しく微笑んだ。指は止めず、美しい旋律を奏でながら。
そして少年は少し思案してから、これがいいと一人で頷いた。
ポロン。
最後の音が、部屋に反響する。
部屋の壁に、天井に乱反射するように響く音。そして残響。
少年は少女の頭を優しく撫でた。
――この曲の名前は。
『青い鳥』
いつか一緒に探すと約束した、幸せの鳥。
最初のコメントを投稿しよう!