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「おばさん、開けて!」
夜の村は静寂に包まれていた。それを破るかのように一件のこじんまりした家のドアを叩くミツル。やがて家の中から返事が聞こえた。
「ミツルかい……?」
ゆったりとした女性の声にミツルはドアを叩くのを止めた。
やがてキィッという錆びた金属の音と共にドアが開かれる。
現れたのは、優しい瞳の初老の女性だった。
「こんな時間に一体……」
「大変なんだレイコおばさん!」
ミツルがレイコの言葉を遮った。
「どうしたんだいミツル、珍しく落ち着きが無いね……おや」
レイコの視線がミツルの背後に移される。
「人が、倒れてたんだよ。あの丘の上」
「人が……?」
レイコは驚いた顔をしたあと、無言でミツルを家の中へと手招きした。
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