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「……なんの冗談?」
「…え?」
なんだか、考えれば考えるほどムカムカと腹が立ってきて
お前は何も知らないんだと
まるで今までの自分たちのすべてを否定するようなその眼差しに、抑えきれない怒りが口から溢れ出した
「俺をからかってんの?マジ笑えねぇんだけど…」
「………、」
「俺がお前のことで知らねぇことなんかあるわけねぇじゃん、マジふざけんなっつぅの」
「………」
今までもそうしてきたように、苛ついた気持ちを隠そうともせず、そのままの気持ちをぶつけると
突然、目の前の空気がガラリと変わり、ピンと糸が張り詰めたような緊張感が漂いだした
(…あ……、やべ…)
それは、長年接してきたからこそわかる、こいつの感情の変化の現れであり
最悪の事態を象徴してる
「……本気で、冗談だと思ってんの…?」
「……は?」
そう言って俺を睨み上げた瞳には、底知れぬ怒りの炎が沸々と込み上げていて
こいつが、どんなに怒りをかみ殺しているかがよくわかる
だけどそう、いつも、こうやってこいつが本気で怒る時には、その怒りと同時に
深い、悲しみのような、寂しさのようなものが感じ取れて
俺はそれを、感覚で感じ取ることはできるものの、その根本の理由はどうしてもわからなくて
わからないことが無性に悲しくなり、何も言えなくなってしまう
(悲しくなるっていうか…、切ねぇっていうか…、大袈裟だけど)
こいつが本気で怒る時には、なんだか寂しくなってしまうんだ
だけど、それをどう対処していいかわからないから
それもなんだか悔しくて
俺は、黙ってあいつの言葉を聞くしかない
聞きながら、頭をフル回転させて、なんとかその真意を探ろうとするんだ
だから、あいつの怒りに触れるのが怖くて、普段はそうならないようにしてるのに……
(久々に怒らせちゃった…)
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