嵐と呼ぶには大袈裟だけど、青天の霹靂と言うには相応しく

9/11
前へ
/11ページ
次へ
  「…お前さぁ、なんかすげぇ大事なこと忘れてねぇ?」 「……へ?」 俺は改めてこいつとの友情を深められたなぁ、とか思って満足していて 確かに、あいつの怒りの根底にある、それとは裏腹の切なさとか、うやむやにしてわからないままにしている部分もあるけれど その部分に関しては、こいつ自身も無意識のことだろうということだけは、理解していたから とりあえず、今はそれは置いといていいだろうと勝手に結論づけて 親友の世紀の一大告白に関して、俺の理解を示してやりたかったんだけど どうやら、俺は何かもっと重要な何かを忘れてるらしい 「…俺の言ったこと、覚えてるか?」 「は?…だから、実はゲイだったのを俺に…隠してたんだろ?」 「そうだけど…、俺が言いたいのはソコじゃねぇだろ」 「…は?」 「この際、その事実はどうでもいいんだよ、俺がお前に伝えたいのはソコじゃねぇ」 「…?意味わかんねぇんだけど…」 「なぁ、もう一回言うぞ?よく聞けよ?」 そう言ったあいつの顔は、とても真剣で その気迫に押されて、俺はゴクリと息を呑み込んで、その俺が聞き逃したらしい重大な告白を待った 「俺は、実はゲイだ」 「…だから、それはわかったっつぅの」 「その上でお前に言う、ちゃんと理解しろよ?」 「わぁ―ってるよ!」 「俺は、お前が、好きだ」 「………は?」 「正確に言えば、ずっと、好きだった」 「……え、…は?」 「だから、俺とつき合って」 ……………、ん―と 完全に時が止まったわ、思考回路切断、思考能力停止 いや、実際止まってもなんでもねぇけど いやいやいや、全然意味わかんねぇ 好き?あいつが?誰を? お前?オマエって誰?外人か誰か? つき合ってって、どこに?誰と? う――んと……… 「…好きだよ、ジン、俺とつき合って?」 「俺…が、好き…?」 「そう、ジンのことが好きだから、つき合いたい」 「お前が…カズヤが、俺のことを?」 「うん、大好き」 「好き……、」 「ジン?」 「……わり、…ちょ、よ、用事が…」 「え…、ジン…?」 「また、またな!!」 「あ…、」 …ダダダダダダダッ (……うそおおおお!??) あまりに衝撃的な親友からのダブル告白に、俺は思わず逃げ出してしまった  
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加