プロローグ -Prologue-

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6.契約 -Contract- 「な、何だよこれ…」 胸に刻まれた謎の模様を擦すってみるが、別に痛くも痒くもない。それどころか、先ほどとはまるで違う感覚さえ覚えていた。 「それはアストレイヤーと契約している事を証明する紋章だよ。絵柄は様々で通常同じものは二つとないのけど、それぞれ何かしらの意味を持っているの。契約によって、ソラ自身がオリジナルスキルを身に付けたり、契約者とアストレイヤーとの間で意思の伝達…分かり易く言うとテレパシーのようなものが使えるようになるよ。他には身体能力の大幅上昇や知能指数が上方修正される事があるというのも聞いた事があるかな」 「んな事聞いてんじゃねぇ…。何で勝手に契約した?つーか、何で俺の名前を知ってるんだ?」 未だに混乱している俺は、自分なりに状況を把握しようとする。 「名前…真名は契約の際に必要だったから、ソラのズボンのポケットに入っていた学生証で確認したよ。契約はさっき話した通り、ソラを助けるために病むを得ずね。あそこまで重体では、現代の医学ではどうしようも無かったから。でもソラ自身の意見を、尊重出来なかった私に非があるのは重々承知してる。本当にごめんなさい…」 それに対し、ルナは涙混じりで深々と頭を下げながら申し訳なさそうに謝るものだから、逆にバツが悪くなってしまった。 「…もう過ぎちまった事だし、良いから顔を上げろよ。んで、契約者っつーのは何をすれば良いんだ?」 俺はそことなく興味を示してきたので、ルナは話の続きを促した。
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