プロローグ -Prologue-

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4.過去、そして現実(リアル)へ -Be Next- ―この世界には多くの次元の歪みが存在している― それは幼い頃… ―それらを本来の在るべき姿に直す役割を担う者達― 夏の終わり、母の実家に帰った際… ―彼らをアストレイヤー(星導師)と呼んだ― 祖父に聞いた話。 今を遡ること十年前。 俺は半信半疑ながらも、そんなおとぎ話のような話を聞かされていた。 「じいちゃん…。なんだよ、それ。いかにも嘘くさい話じゃんか。」 「嘘ではない。今となってはこの街にアストレイヤーは居ないが、こう見えても儂は昔契約しておったんじゃぞ。」 じいちゃんこと祖父・清孝は、さも本当の事のように自信満々で答える。 「ケーヤクって何だ? 何か良い事あるのか?」 拓也は全く興味がないわけでもなく、どんどん話に突っ込んでくる。 「よくぞ聞いた。アストレイヤーが次元の歪みを修正する上で、この世界に於いて最も強い力を持つもの。すなわち人間の力が必要なのだ。」 「えー…、人間だってライオンに噛みつかれたりゾウに踏まれたりしたらイチコロじゃんか。」 俺はあくまで否定的な考えで、祖父をイジろうとする。 「人間は知力、権力、兵力の全てに於いて他の生命体を上回っておる。そんな人間が収束したら、どんな生物でさえ適わんじゃろうて。」 「むぅ…確かに。」 しかし、祖父の考えは変わらず変に納得させられてしまう。 「じゃがな、人間を上回る存在がおった。」 「アストレイヤーって奴か?」 「彼らもそうかもしれんが、それ以前にこの世界の歪みが大きな驚異となったのじゃ。」 そう言うと清孝は遠い目をしながら、過去を振り返るかのように話を続ける。 ―…お…がい…きて……― するとノイズのような声が俺の脳裏に響く。 ―起きて…ソラ……― 二回目の声。今度ははっきり聞こえる。そこで、強い光に晒されたかと思うと、祖父との対話の記憶が遠のいていった。
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