10人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は軍の新人配属先の発表の日です
これからどの部署に行くか
どんな上司なのか
仲間は出来そうか
沢山の不安や期待が交錯しています
それはこの二人も同じことでした
『バールード……
あー…何だか緊張するなぁ』
『しゃんとしてろ』
十人の新人が並ぶ中、
一際身長の大きいエッダは特に顔を輝かせて身震いをしています
『分かってるけどさ、何か落ち着かなくてな!ワクワクするんだこれから俺、ここで強くなるんだ!』
『お…おいエッダ黙れ』
『これが黙っていられるか!!ああ楽しみだ!
俺ゆくゆくは皆を護れるように強くなるんだ!!くっー!燃えてきた!』
『………あ』
『『喧しいぞッ!!
貴様誰が無駄話をしていいと言った!!』』
異変に気付いたバルドが教えたにも関わらず興奮しているエッダの後ろから
咆哮の様な怒鳴り声がしました
『うわぁッ…すみません!!』
目を丸くして振り向いたエッダの後ろに居たのは
赤髪を束ね顔に刺青を入れている女性でした
赤髪を靡かせている彼女の物凄い剣幕に新人達は只唖然とするだけでした
『教官である私に注意されるまで私語を止めない!!入ってきた私に挨拶の一つもない!!
貴様初日から何だこのザマは!!
やる気が無いなら帰れッ!』
ビクッと体を震えさせ、エッダは蚊の泣くような声ですみませんとだけ呟きました
『……帰らないのか
まぁその根性だけは認めてやる
お前、名前は何だ』
『エッ…エッダ、エッダです』
『よしエッダ、貴様は私の隊に来い
反論は認めん』
さっきとは違い
目をぱちくりし、顔を真っ青にしたエッダは信じられないという顔をしていました
『俺が…ですか…?』
『来い、私の名前はリクニス=シルフィウム
これからは貴様の上官だ
お前のその根性、私が見定めてやる』
『は…はい!リクニス教官!』
これが、リクニスさんとエッダの最初の出会いでした
最初のコメントを投稿しよう!