出会い

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HRが終わって昇降口に向かうと 他の人よりも明らかに存在感がある人が ドアに寄りかかって立っていた。 細身で背が高く 明るめの茶色の長くて盛られた髪に 着崩した大きめの制服。 大きな目に高い鼻。 ケータイをいじっていて 私の存在には気付いてないみたいだ。 下駄箱から靴を出して履いた時、 その顔がケータイから私に向けられて 優しく微笑んだ。 翔「お疲れ様。」 そう言って近寄ってきて 何も言わずに私のカバンを手にとる。 初「え?か、カバンくらい 自分で持ちますから。」 少し焦ってカバンを取ろうとした私の手を掴んで それを自分の手ごと自分のポケットに入れて 翔「いいから、行こ。」 と言って 歩き出した。 こんなの、友達じゃなくて カップルみたい… 初「や、でも、ほんとに カバンくらいは…」 翔「うっせ、行くぞ」 いつもと違う口調で言われたとき 私の心臓が音をたてて跳ねたのがわかった。 初「…はい。」 そう言って二人で歩き出した。
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