出会い

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しばらく走ったところで私は足を止めた。 イライラする。 母は自分で言うのもなんだが 若いし綺麗だ。 今年で34歳だし 元キャバクラのNo.1の面影もある。 そんな母と仲良く話していた先輩に対してイライラしていた。 いや、母にイライラしていた。 母に焼きもちをやいていた。 翔「どーしたの?遅刻しちゃうよ?」 初「…………行きたくない、です…。」 先輩はうつむく私の顔を 膝を曲げて覗き込んでくる。 翔「何で?」 初「気分が悪いってゆーか、 いきなりめんどくさくなっちゃって…。」 先輩は、そっか。と一言言って 膝を伸ばした。 何を話すわけでもなく 先輩はポケットに手を入れて 私をじっと見ている。 初「……………あの、 私、帰りますね……… わざわざ来てもらったのに 勝手なことしてすいません…。」 翔「ほんっとに勝手だな。」 ヤバい、怒ってる… 嫌われる… 学校行かなきゃ…! 初「あの、やっぱり私がっこ」 そこまで言いかけたところで 先輩が私の手を引いて歩き始めた。 何で私は母に嫉妬なんかして 学校に行かないなんて言ってしまったんだろう… その前に何故嫉妬なんかしたんだろう……… 好きでもない人に嫉妬するなんておかしい…。 いや、でも昨日あったばかりの先輩を好きになるわけない。 そんなことを心の中で考えながら 手を引かれるまま歩いて着いたのは 学校ではなかった。
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