初歩

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家に帰り カバンを投げて 部屋着に着替えて ベッドに潜り込んで電話をかけた。 相手は、愛だ。 愛は中2に私と同じ中学に転校してきて それからずっと仲良しだ。 今の高校も愛と一緒の学校に行きたくて入学した。 プルルルルル プルルルルル プルル 愛「もしー、どうだった?」 私はこの段階で泣いて 愛に良いアドバイスをもらおうとしていたのに、 私の計画とは裏腹に 涙は出てこなかった。 初「あー、 …彼女いたんだって。」 愛「……そっか。 まあ居るだろうとは思った。」 初「かっこいいし優しいもんね…。」 愛「そうじゃなくて、 あの先輩ホストやってるんだよ。」 自分の耳を疑った。 初「え…まだ17だよね……?」 愛「うん…だからさ、 彼女いてもおかしくないかな、って…。」 初「何で先に言ってくれなかったの…?」 愛「……ごめん…。 初歩が張り切ってたから 言ったら可哀想かなって思って 言えなかった…。」 愛をせめるつもりなんてなかった。 何で愛に八つ当たりしてるんだろう…。 初「あ……ごめん…。 愛に八つ当たりするつもりじゃなかったんだけど…。」 愛「あたしこそごめんね、 愚痴なら聞くからさ。」 その愛の言葉に甘えて 私はさっきの出来事を伝えた。
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