5,わぁ    サンドウィッチ

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ドアを開けて、自分の家と同じ間取りの玄関を入っていくと、 辺銀が奥の部屋でちゃぶ台の前に座っていた。 ちゃぶ台の横にはベッドがある。 「人を見た目で判断してはいけないよ。」 ここは年長者である私が丁寧に教えてやる。 「見た目なんかでは判断できません。」 「じゃあ、人を挨拶で判断しちゃいけない。」 「あなたがろくでもない人間じゃないと僕は挨拶で判断しました。人を挨拶で判断しちゃいけないなんて偏見、間違った考えですよ。」 冗談が通じない。 「今日の朝食はなんですか?食事代なら昨日爺先生が、茶封筒に入れてどこか見えやすいところに置いておいたと言っていましたので、探してみてください。」 「朝食はサンドイッチだ」 私は爺先生じゃないのでサンドウィッチと発音しない。 「サンドウィッチ。久しぶりですよ。食べるのは。」 辺銀はサンドウィッチと発音した。 不愉快な発音ではない。 わざとらしくない。 これが若さというものか。  ちゃぶ台の上に大皿を置いた。 茶封筒はちゃぶ台の上にあった。 「好き嫌いわからないから、適当に野菜だけ挟んで持ってきた。」 「好き嫌いはありませんよ。僕は雑食です。」 私はベジタリアンです。 というわけではない。 辺銀はビン底メガネをかけていた。 年代物らしい。 ここでも私は、 わぁ と驚いた。 今の時代でも買えるものなのか。 ビン底メガネを除けば彼は至って普通の男だった。 ワイシャツを着てチノパンを履いていた。 私はというと、ジャージである。 辺銀はあまり身長は高くないが、ひょろっこいイメージを持つ。 ビン底がなければ、普通なのに。
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