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医者の後ろの看護師がまた顔を歪めた。
あれは果たして笑っているからできる歪みなのだろうか。
それとも機嫌が悪いのか、腹が痛いのか。
もしかしたらぽやぽやが気になるのかもしれない。
「小説家なら、彼に関わって損することはないですよ。私が保証します。」
そのぽやぽやに懸けて?
「小説家に必要なのは、経験と紙とペンですよ。」
ペンの発音が不自然だ。
きっとわざとに違いない。
「話を聞いて治療するならばまだしも、辺銀君は本当に話したいことだけ話して帰りますからね。こちらとしても、困るんです。」
後ろにいた顔を歪めている看護師が、弱弱しく言った。
「僕は楽しくていいんだけどね。香苗君が起こるから。」
医者は言い放った。
「じゃあとりあえず、明日から行ってみてくださいね。こちらから話は通しておくので。」
「まだ、私引き受けてないんですけど。」
「小説家に必要なのは経験と紙とペンですよ。」
ペンの発音が不自然だ。
きっとわざとに違いない。
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