プロローグ

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その男は片手に缶コーヒーを持ち、ブレザーのボタンを外した格好をしていて、なぜだかとても疲れた顔をしていた。 「あっ、そこの人!」 俺がとっさに声を掛けてみると、男は辺りをキョロキョロと見渡し聞いてきた。 「俺?」 「そうそう、ちょっと聞きたい事あるんだけど今いいか?」 「聞きたいこと? まあ、まだ時間もあるしいいぜ」 そこで男は、ニッ、とさっきの疲れた顔とは相反し、とても爽やかなスマイルをして話を続けてきた。 「そうだな…… まずは簡単な所からでいいかな。 俺の名前は氷室 蓮(ひむろ れん)。 身長175体重59血液型はB型。 好きなものはプリン。 嫌いなものは野球、辛い物、勉強。 趣味は漫画、カラオケ、音楽鑑賞。 いたってどこにだってあまりいない、超爽やかなカッコイイ現役イケメン高校生さっ! 他にも聞きたいことがあるなら何だってお答えするぜ?」 ……なんだこいつ、聞いてもいない自己紹介聞かせてきやがった。 しかも超爽やか、とか、カッコイイって…… バカか? バカなのかこいつは!?  確かに顔はとても整った爽やかな顔をしているけど…… 普通自分でイケメンとか言うか? もしやこれが噂に聞くナルシストってやつか?
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