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俺は口を半開きにし唖然としていると、横から白雪が相手に聞こえないように耳打ちをしてきた。
(兄さん、失礼かもしれないですけど、この人バカです。)
うんうん、奇遇だな妹よ。
たった今、兄も同じことを考えていたぞ。
白雪は話を続ける。
(あと、なんとなく兄さんに雰囲気が似てますね)
……あれ?
俺、いま遠まわしに『まあ、兄さんもバカですけどね』って妹に言われた!?
ふー、っとため息をしこの、氷室 蓮という男に話しかける。
「あ、あのさ何で急に自己紹介なんだ?」
「えっ、だってあれだろ? 一目見て俺の事が好きになっちゃて、俺の事が知りたくなったんだろ?」
うわ、何だこいつ!?
俺がお前に一目ボレ!?
残念ですけど俺にそんな趣味はありません!
ごめんなさい!
俺は聞く相手を間違えたと少し後悔していると、蓮は急に眼を見開き驚いた顔をして、俺に指を指してきたきた。
「って、お前よく見たら男じゃんか! 悪いけど俺にそっちの気はないぞ!?」
「いやいやいやいやいや、俺だってそっちの気はねえよ! てか今さらだな、おい!? 話しかけた時に男か女ぐらい気づけよ!?言っとくけど俺が聞きたかったのは職員室の場所だよ!」
「……えっ、そうなの?」
「そうだよ!」
はあ、もうヤダ……
何で俺学校見学に来ただけなのに、初対面の人にこんなツッコミいれてんの?
「じゃあ、そちらのお嬢さんも俺に一目惚れってわけじゃ……」
「ありませんよ」
それを聞いた瞬間、蓮は床にガクッと膝をついてうな垂れる。
「なんてこった…… とんだ勘違いだぜ……」
彼は一言、そう呟いた。
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