日常

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 玄関を勢い良く開けると見慣れた景色が見える。  まぁ……見慣れていない景色が見えたら怖いけどな。  俺は家の鍵を閉めた。  朝の眩しい光が俺の視界に入り思わず腕で遮ってしまう。  天気は雲ひとつない晴天で小鳥の囀り(さえずり)が聞こえてそれはまるで子守唄のようだった。  玄関から3歩ぐらい歩くと左右の道に分かれている。  左に曲がると商店街に行ける道になっていて、右に曲がると俺が通う松枝高校(まつえこうこう)へと行ける道になっている。  俺は学校に向かう為に右方向に身体を向けて歩む。 「やっぱ寒いな」  俺は通学路を歩きながら手袋をしている手を擦り(こすり)合わせて寒さのあまりに呟いてしまう。  溜め息をつけば小難しい原理で口から放出される白い煙を見ると冬だな、と改めて実感させられる。  冬場の冷たい風が俺の身体を吹き抜けると白いマフラーは風によって靡く(なびく)。  2011年12月17日──  今年の年月で今日の日にち。  ちなみに今日は松枝高校の2学期終業式の日。  またあの校長の長ったらしい雑談まがいな物に付き合わないといけないのか……と思うとやる気が失せてしまう。  本当……面倒くさい。  話を変えるが実は俺の家から松枝高校はとても単純な道筋なんだ。  俺の家から500mぐらい歩くと、ある広い十字路に出る。  その十字路を右に曲がって後は真っ直ぐ歩いていけば松枝高校の正門に到着できるという道筋。 「にしても……まじ寒い」  俺は両手で身体を強く擦る(こする)が小刻みに震える身体が止まらない。  なにか暖まる物ないかな?  そんな事を思い歩きながらまるで不審者のように周りを何度も見渡す。 「──!」  しばらく身体を手で擦りながら歩いていると、ある物が俺の視界に入った。  道の脇にあり赤い長方形の箱型のような物体──  自販機!!  俺の脳内にその言葉が過った。  大袈裟かもしれないが今の俺にとって自販機はまるで砂漠のオアシスみたいな存在。  自販機だと確信を得るとすぐさま自販機がある方へと駆け付ける。
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