日常

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「ハァ……なんかもう疲れた」  俺は俯きながら溜め息混じりに呟く。 「んな事より早く教室に向かおうぜ! 遅刻したら内申書に影響するしさ!」  河村は促すように言うなり俺のブレザーを引っ張り教室にすぐさま連れていこうとする。 「ちょ! 引っ張るな馬鹿!」  俺が怒声のように声を張り上げると河村は手をブレザーから離す。 「お! あれ隆也じゃない?」  河村が正門の方に指さして俺に聞いてくる。  隆也と呼ばれる人物が徐々に俺達の方に足早で近づいてくる。  ブレザーのボタンは全開にして白色のカーディガンが見える。  ネクタイは緩く、ワイシャツのボタンが何個か開いている事によって胸元から銀色の十字架のようなネックレスが見えた。 「矢吹と河村か……」  三沢隆也(みざわ りゅうや)  それが彼の名前。  身長は175cmぐらいといった俺と同じで身体の細さも俺と同じくらい。  綺麗な茶髪長髪で全体的に俺と同じ位かそれ以上の長さ。  綺麗な黒色の瞳、キリッとした眉、顔立ちも良くイケメンというべき人間である。  頭も良くて運動神経も悪くないと、いった万能な人間で女子から人気がある。  俺の数少ない中学からの親友の1人でもある。  ただ……少し目つきが悪いと感じさせられる。  上手く説明出来ないけどあらゆる物を冷静に冷たい瞳で見るような目つき──  そんな冷たい目つきを三沢は持っている。
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