日常

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「今日は終業式だけだろ?」  4階の教室を目指して階段を上っていると三沢が突然尋ねてきた。  俺は三沢を見て黙って頷く。 「なら……やっぱ良いや」  三沢は何か言いかけたが途中で止めた。何か言いたい事があって遠慮しているのが俺にはすぐわかった。 「何? 気になるよ!」  俺が三沢に笑いながら尋ねると少し間があったが三沢は申し訳なさそうに口を開く。 「今日、矢吹の家で集まって遊ばないか?」  なんだ……そんな事か。 「断ると思ってたのか? 良いに決まってんじゃん!」  父さんは昼から夜遅くまでパチンコをする人だから会う事はないはず。  まぁ……昼間からパチンコに行く事に関しては大丈夫ではないがな。  そんな話をしながら歩いていると自分の教室前へと着く。  外側は白色の壁が所々傷がついていたり、凹(へこ)んでいる部分が見受けられる。  教室の扉付近には『1─5』と黒文字で書かれていたプレートがある。  ちなみに河村も三沢も俺と同じクラス。 「あの2人はもう教室にいるのかな?」  俺と三沢の後ろにいる河村が首を少し傾けて尋ねてきた。 「多分来てるな」  少し間をおいて三沢が答えると河村は教室に繋ぐ扉を開ける。
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