夏、日照り、竹林にて

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「相性最悪……」 軽いナイフは簡単に銃弾に弾かれてしまう ならば弾かれないほどに速く投げるか、対応できないほどの量で押せばいいのだが、相手は魔法使い━━量に対する対策はばっちりだろう 必中のフラガラッハも後手に出さなければ意味がない━━ 「あなたの魔法はわかりやすい 武器も不意打ち向きだし」 「人のことを言えた義理ですか?」 狙撃手というのはタフだ スコープを覗き、狭くなった世界に獲物が映るまで待ち続け、一度捉えれば獲物の命で弄ぶ 冷静で残忍な種類の人達だ━━長期戦は不利 なら━━ 「『騎士は徒手にて死なず』……」 カードが光を放ち私に降りかかる 所謂、切り札━━単純に身体的能力を向上させるだけの魔法だが、ある一点に非常に優れている 気配を薄めるのだ 者は動く度に音を出す 人も当然だ━━自分は隠しているつもりでも衣服の擦れる音や呼吸音は、そうそう消えるものではない しかし、この魔法はそれを薄める━━単純に抑えるのでなく、相手の感覚に作用し周りの物の気配を曖昧にしてしまうのだ
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