夏、日照り、竹林にて

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「……?」 あの人はもう違和感に気づいただろう 目には見えていても、感覚では掴めていない私の存在 その矛盾は一種の催眠効果もある 目から脳に送られる情報では捉えていても、その他の情報源が否定するからだ 「目が見えない人になら役立ちそうだね」 思ったよりは焦りがないが、効果はあるようだ 同時に私にも違和感が現れる 彼女から音がしなくなったのだ 「私の能力は気配を察し気配を絶つこと……」 お互いに気配を絶った状況 私は彼女を大きく迂回しながら急接近した 狙撃手を相手にする場合は、まず距離を詰める 近寄りさえすればナイフはどんな武器よりも強い そのまま手の届くような距離に駆け寄ると彼女はあっさり白旗をあげた というか何処に隠し持っていたんだろう 「近寄られたら適いそうもないわ 怪我しないうちに降参」 いかにもやる気の無さそうな彼女にあきれ、私は永遠亭へと戻った 肩慣らしと言っていたけど、本当に紅魔館の魔法使いに挑む気なのだろうか━━
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