辰本龍の憂鬱

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  「あるー晴れーた日ーのことー♪ 魔法以上のユーカイがー♪ 限り無く♪ 降り注ぐ♪ そしてー羽ばたく…… ウ ル ト ラ ソ ォ ッ !!!」 「…………」 宿屋の一室に入ったらこれだ。 女子高生がノリノリで踊って熱唱している場面に偶然にも出会した人間が世の中に何人いることか。 多分かなり少ないと思う。 「あっ、九十九さんと辰本君!」 「やっほー、嶺子ちゃん。 元気そうで何よりやねぇ」 「はい、お陰様でバッチリ!」 …………嘘だな。 強がってるに決まってる。 あれ程の惨劇、たった1日で克服出来るとは到底思えない。 どんなに図太い神経でも、強靭な心臓だったとしても。 それでも笑顔で話しているのは、コイツなりの気遣いだろう。 「あまりにも暇だったので、ついハレ○れダンス踊ってしまって」 『暇だったからついつい踊った』という驚愕の思考回路に戸惑いを感じたのは俺だけだろうか。 俺が少なからず動揺していると、九十九がパンと掌を叩いた。 「さて、それじゃあ嶺子ちゃんに幾つか質問しよっかな」 「…………はい」 「…………」 思い出すのも辛いだろうが、今は1つでも多く情報が欲しい。 そして、コイツは俺達3人の中で最も多くの情報を持っている。 あのガキ……『風迅』の情報を。
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