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「……おーい、犬飼?
何さっきから呟いてんだ?」
「いーやー別にー?
若葉が辰本君に馴れ馴れしいのが気に食わないし冨樫仕事しろとか全っ然考えてないよー?」
「いや、結構口から出てるし……てか冨樫って誰だよ」
こうやって細かいボケに反応してくれる若葉は好き。
だが、気に食わない。
「若葉、アホ、さっさと行くぞ」
お聞きの通り、若葉は名前なのに私は『アホ』という差別。
許さん……赦さんぞ……!
大恩ある(※ありません)この私に対して悪行千万!
今日の夜中に貴様の鎖骨が悲鳴を上げると思うがいい!
みたいなことを口に出した日にはアホどころか不燃廃棄物呼ばわりされそうな気がしたので、黙って後ろを歩く私でした。
「──ちょっと待ったぁ!!
そこの金髪ノッポ野郎!!」
「辰本君、誰か呼んでるけど?」
「無視する」
門付近から若い男の声が聞こえた気がしたけど、3人揃って華麗にスルーして関所に向かった。
「──って、無視すんなぁ!!」
関所に向かおうとすると、1人の少年が私達の目の前にシュタっと軽やかに着地した。
中々に粘着質な奴め……
…………?
いや、待てよ?
『着地した』!?
バッと、門を見上げてみる。
この門の高さは、誰がどう少なく見積もっても『10メートル』はあるに違い無い。
その高さから飛び降りて、怪我も危な気も無く着地したと……!?
この少年……もしかして……
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