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その言葉が引き金になったのか、ずっと黙っていた辰本君が不機嫌そうな表情を携えて、ユッキーに一歩二歩と歩み寄る。
辰本君……思ったより短気ね。
あんな挑発、2chじゃROM専にも相手にされないぜ?
「喧しいのぉ……お前。
こっちは疲れとんじゃ、消えろ」
何かもう、アレだ。
言葉の重み?がヤバい。
都城王土かってくらいヤバい。
思わず跪いてしまいそうだ。
しかし、それに対してユッキー。
「オイオイ、逃げんのか?
ハジメさんからはスゲー奴だって聞いてたんだけどなぁ、蓋開けて見たらただのビビりかよ?」
辰本君の怒気の込もった言葉にも全く怯まず、むしろ更に挑発してみせる余裕っぷり。
さすが最強(笑)……見た目はアレでも辰本君と同い年なだけある。
年齢は関係無いけど。
「……喧嘩売っとんのか?」
「喧嘩じゃねぇよ、テメーの腕を俺が測ってやるって言ってんだ」
「……後悔すんなよ、オイ」
途端に、空気が重さを増した。
2人の間合いは約1メートル。
近い、あまりにも近すぎる距離。
ほんの少し踏み込んでしまえば、そこはもう互いの縄張り。
「(い、犬飼……!
辰本さん大丈夫かよ!?)」
あっ、若葉いたんだ。
軽く空気だったから忘れてた。
辰本君……どうだろうか?
正直、辰本君が負ける姿が微塵もイメージ出来ないけど。
けど……ユッキーのあの口振り。
もしかして本当に、最強クラスの実力者なのか?
──その時、一方の影が動いた。
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