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関所での手続きも滞り無く済み、私達3人はようやく街に一歩足を踏み入れた。
しかし……やはりデカい!
先日まで滞在していた村とは比較することすら失礼に値するんじゃないかと思えるくらいだ。
規模も人数も、数倍なんて言葉で収まるかどうか。
「…………さて、と。
犬飼、これ受け取れ」
「え? おーっとと」
私が街の情景を観察していると、辰本君が財布らしき袋をポイっと雑に投げてきた。
路銀っていうの?
硬貨っぽいのがジャラジャラ袋に入っている。
中々な額になりそうな……ハッ!
辰本君……まさかこのお金で私を一晩買うつもり(ry
「辰本君……今日の夕飯はお赤飯とかにしようかと……」
「は?」
「何でもございません。
どうして私に財布を渡すの?」
契約的には、私はここで辰本君に捨てられる筈なんだけど。
……口に出したら空しいな。
すると辰本君、控え目な溜め息を1つ吐いて……この言葉である!
「……俺はギルドの駐屯所で何かクエストを片してくる。
『2人分』宿で部屋取っとけ」
( ゚-゚ )……
何 で す と ?
「えっと…………つまりは?」
「……あと2日くらいは滞在するから、その間の寝食の金くらいは出したるって言っとんじゃ」
イヤッフゥゥゥゥゥゥ!!!
ツンデレじゃあツンデレじゃあ、であえぃであえぃ!!!
おっと、待て待て私。
テンションを上げる前に、まずは辰本君にお礼を言うべきだ。
「辰本君、マジパねぇッス」
まぁ、殴られたわけですけども。
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