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「……だから言っただろう?
『不正解だ』って」
ストーカー野郎がどや顔で何かを言っているが、今の私にその言葉を聞き取る余裕など無い。
「えっと……あれれ?
今、確かに当たったよね?
ガッツリ直撃したよね?」
「『普通は』当たっていたね」
「…………悪霊の類いですか?」
「幽霊呼ばわりはまだいいけど、悪霊呼ばわりはさすがに失礼だ」
サーセン(笑)
しかし驚いた。
まさか攻撃がすり抜けるなんて。
これが神官(笑)の力なのか……?
どこぞの死神も『自分よりも高い次元には干渉出来ない』みたいなこと言ってた気がする。
頭でごちゃごちゃ考えていると、ストーカー野郎がフッと溜め息を洩らしながら話し始めた。
「……君があらゆることに疑問を抱いているのは理解している。
だが、個人が独断で知識を与えるのはタブーとされているんだ。
悪いけど、情報は諦めてくれ」
『個人が』……ってことは、神官(もう神官でいいや)は他にも沢山居て、階級や役職みたいなものもあるということだろうか?
うーむ……風迅のこととか能力のこととか色々聞きたかったけど、諦めた方が良さ気だね。
「んー……分かったよ、さっきはいきなり蹴り掛かってゴメン」
「いや、気にしていない」
「神官かぁ……最初聞いたときはただのイタい人かと思ったけど、色んなことが出来るんだねー」
「……勘違いしているようだから言うけど、神官に『すり抜ける』なんて芸当は出来ない」
…………え?
『出来ない』の?
でも、さっきは確かに……
この男……あまりにも謎だ。
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