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人間の意識というのは、得てして単純且つ複雑なもので。
しかし一度でも意識したら最後、それに抗うのは不可能。
そう……私は意識してしまった。
私は今、見ず知らずの殿方の全裸を見ている上に、自分の下着姿を見られている。
そう思った途端、私の中に急激に芽生えた感情に耐えきれず、私は声を発してしまった。
「ごちそうさまでしたぁっ!!」
「何でそうなる!!」
おっと、つい本音が。
だがしかし、考えてみてほしい、そして見ていただきたい。
2m近くあるであろう長身!
筋肉質だがスリムな体型を保った見事な肢体!
割れた腹筋と綺麗な鎖骨!
首元まで伸びる輝かしい金髪!
少し冷めた感じの切れ長の目!
アイドル顔負けの整ったマスク!
齢10代と見れる若々しさ!
この男、まさにイケメン……!!
圧倒的イケメン…………!!
その男が今、私の目の前で全裸で立ち竦んでいる、これを喜ばない腐女子など私は知らぬ!!!
「てなわけで、スタイリッシュに鎖骨触らせてください」
「嫌に決まっとるじゃろ!!
しかもスタイリッシュの使い方を履き違えとる!!」
「お願いします!!
私も全裸になるから!!」
「いらんわ!!
さっさと服着ろ!!」
服を着ろ……だと……?
「だが断る」
「殺すぞ、クソアマ」
「ククク……狗猫は滅びぬ、何度でも蘇るさ!!
貴様の鎖骨を触れるなら幾らでも死んでくれよう!!」
「タチ悪いなお前!!」
こんなやり取りを繰り返した後、お互いに服を装備した。
鎖骨は触らせてくれませんでしたチクショー。
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