狗猫は二度死ぬ

10/13

945人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
人間の意識というのは、得てして単純且つ複雑なもので。 しかし一度でも意識したら最後、それに抗うのは不可能。 そう……私は意識してしまった。 私は今、見ず知らずの殿方の全裸を見ている上に、自分の下着姿を見られている。 そう思った途端、私の中に急激に芽生えた感情に耐えきれず、私は声を発してしまった。 「ごちそうさまでしたぁっ!!」 「何でそうなる!!」 おっと、つい本音が。 だがしかし、考えてみてほしい、そして見ていただきたい。 2m近くあるであろう長身! 筋肉質だがスリムな体型を保った見事な肢体! 割れた腹筋と綺麗な鎖骨! 首元まで伸びる輝かしい金髪! 少し冷めた感じの切れ長の目! アイドル顔負けの整ったマスク! 齢10代と見れる若々しさ! この男、まさにイケメン……!! 圧倒的イケメン…………!! その男が今、私の目の前で全裸で立ち竦んでいる、これを喜ばない腐女子など私は知らぬ!!! 「てなわけで、スタイリッシュに鎖骨触らせてください」 「嫌に決まっとるじゃろ!! しかもスタイリッシュの使い方を履き違えとる!!」 「お願いします!! 私も全裸になるから!!」 「いらんわ!! さっさと服着ろ!!」 服を着ろ……だと……? 「だが断る」 「殺すぞ、クソアマ」 「ククク……狗猫は滅びぬ、何度でも蘇るさ!! 貴様の鎖骨を触れるなら幾らでも死んでくれよう!!」 「タチ悪いなお前!!」 こんなやり取りを繰り返した後、お互いに服を装備した。 鎖骨は触らせてくれませんでしたチクショー。image=464283440.jpg
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

945人が本棚に入れています
本棚に追加