狗猫は衰退しました

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ジリジリと、2人分の足を擦る音だけが部屋に響く。 やはり闇雲に突っ込んできたりはしないか……そっちの方が反撃が楽に出来るんだけどなぁ。 ……って言うか、襲われた時から気になって仕方無いんだけど。 (……辰本君、どこ行ったし) さっきから、辰本君の気配が全く感じられない件。 真っ暗だから姿は見れないけど、寝息も聞こえないし、それ以前にこんな状況で呑気に寝ていられる筈が無いわけで。 つまり、結論を言うと、辰本君は今この部屋には居ない。 何故? どこに行った? 等の疑問は残るが、それは一先ずフライアウェイしてしまおう。 頭の良い辰本君のことだ、理由があって行動しているに違い無い。 だとしたら、私はそれに意見するつもりも無いし、疑いもしない。 辰本君が居ない今、私の為すべき行動(イベント)は── ──次の瞬間、犯人が意を決して突進を仕掛けてくるのが、足音で即座に理解出来た。 (私がすべきことは……コイツを捕まえることだ!!) ギラリと、僅かな月明かりに照らされて、ナイフが胸元に向かってくるシーンが映った。 しかし……見えてしまえばどうということは無い。 迫ってくる凶刃を最小限のサイドステップで避け、その勢いを利用して犯人の足を払い、ドシャッと犯人は床に倒れ込んだ。 「っっ……!?」 「おっとぉ、ストップ!」 立ち上がる暇は与えない。 素早くホルスターからピストルを抜き、犯人の頭に突き付けた。 勿論、ただの威嚇だけどね。 『いつホルスター装備したの?』とか考えたら負け。
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