狗猫は衰退しました

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「なっ……!!」 「セブンスター……!?」 『マルボロ』 『マイルドセブン』 『セブンスター』 煙草に疎い私でもその3つだけは知っている、煙草の代表格であり代名詞とも言える銘柄だ。 もし……もし辰本君の言う通り、銘柄の需要の良し悪しが組織内の地位や実力と比例しているのだとしたら、その3つを名乗る人達は一体どれ程の……! 「たっ、辰本君……!?」 「チッ……今更逃げようにも多分もう出遅れじゃろ。 迎え撃つしか無いか……」 「むっ……無理だ、無理だよ!! いくら辰本さんでも、アイツには誰も勝てるわけないんだ!!」 おいおい若葉、焦ってらっしゃるところを失礼だけど、今サラッと上司に死亡フラグ立てたぞ。 これでセブンスターがあっさりとやられたら若葉の責任だな。 ( ̄ー ̄)←こんな表情でニヤニヤしながら辰本君と若葉の話に耳を傾けていると── コツン コツン コツン ──何者かが階段を上る足音が、確かに響いた。 「(辰本君……!)」 「(来たか……!)」 私と辰本君はサッと扉から離れ、警戒心を極限まで高めた。 若葉はビビりまくってるし、もう押さえ付ける必要も無いだろう。 万が一また向かってきたら、その時は師匠直伝パイルドライバーで撃退してやるさ。 足音が、扉の前で止まった。 そして……ドアノブが傾いた。 「うぃーっす、『セブンスター』鬼塚真介(オニヅカ シンスケ)でーす。 『娘』を引き取りに来ましたー」
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